ペルーの首都 リマ Lima
16 世紀にインカ帝国を滅ぼしたスペイン軍のフランシスコ・ピサロが、南米攻略の拠点として選んだ場所がリマ。アンデス山脈に由来する豊富な水脈と、海岸線に面した地理的条件から、スペイン本国からの軍隊の派遣や物資調達に理想的な場所だったからだ。現在は南米各地へのゲートウェイとして毎日多くの外国人が訪れる人口約 970 万人を擁する南米を代表する大都市になった。
首都リマは海岸線の砂漠地帯に位置しており、年間を通じてほとんど雨は降らない。傘をさしている人を見かけることはほとんどないだろう。5 月~ 10 月にかけての冬は晴天の日はほとんどなく、毎日どんよりとした雲に覆われる。11 月になると気温も上昇し、太陽もふり注ぐリメーニョ(リマっ子の意味)が待ち望んだ夏が訪れる。人々は冬の鬱屈した気分を吹き飛ばすようにビーチに繰り出しバカンスを楽しむ。
リマは大きく旧市街と新市街に分かれている。旧市街には今もスペイン統治時代の建築物が残り、そのコロニアル調の街並みには異国情緒が漂っている。リマ旧市街はユネスコの世界文化遺産にも登録された。一方、新市街にはホテルやショッピングセンター、カジノなどが立ち並び夜遅くまで賑わっている。リマを訪れた際には是非、この新旧両方の街を訪れ、その違い、それぞれの街のパワーを肌で感じとってほしい。
ホルヘ・チャベス国際空港 Aeropuerto Internacional de Jorge Chaves
南米各国へのハブ空港として米国、欧州などから毎日何十便もの飛行機が乗り入れる、24 時間営業の空港。空港内のターミナルは一つで、国際線ロビーと国内線ロビーに分かれている。国際線のチェックインカウンターエリアには搭乗券を持った乗客しか入ることができない。米国など主要空港からの到着フライトは深夜に集中する。その時間の待合エリアは出迎え客や客引きでごった返しているので、到着日のホテルまでの移動手段は事前に確保しておきたい。空港の向かい側のホテル ウィンダム・コスタ・デル・ソル・リマ エアポート (Wyndham Costa del Sol Lima Airport)を利用する旅行客も多い。空港から旧市街までは約 12 キロ、新市街までは約 16 キロ離れている。渋滞がなければ約 30 分の距離だが、ラッシュ時には 1 時間半以上かかることもあるので、時間に余裕を持って行動しよう。到着ロビーエリアにはシャトルバスやオフィシャルタクシーのカウンターがあるので、移動手段がない場合は空港を出る前に依頼しておくと安心だ。客引きのタクシーは避けるべき。
リマ市内の移動
リマ市内には列車、地下鉄は通っていないため、基本的な移動手段はバスかタクシーになる。現在は都市基幹交通システムのメトロポリターノ ( バス ) が整備され、リマ市内の専用レーンを走行している。観光客にも比較的利用しやすく安全だが、事前に券売機か窓口でカードを購入し、チャージする必要がある。
メトロポリターノが通っていない場所ではコンビやミクロと呼ばれる小型の乗り合いバンが走いるが、非常にわかりにくく、また安全上もお薦めできないので、タクシーを利用しよう。
タクシー (Taxi)
ペルーでは車内にタクシーとかかれたプラカードを掲げただけの白タクが長年主流だったが、近年ではウーバー (UBER)、ビート (BEAT) など配車アプリを利用したタクシーを利用する人が増えてきた。外国人ツーリストもアプリさえあれば簡単に利用できるが、そうでない場合は、ホテルの提携タクシーやラジオタクシーなどを利用しよう。白タクは運転手との事前交渉で運賃が決まり、また犯罪の温床にもなっているので、利用しないほうが無難。
世界遺産 旧市街 (セントロ) Centro
1535 年、首都をクスコからリマへ移すと決めたフランシスコ・ピサロは宗主国スペインの様式にのっとり、アルマス広場を中心に碁盤の目状に街を築いていった。現在もアルマス広場は旧市街の中心地だ。広場周辺の建物はほとんどが改修や再建されたものだが、コロニアル様式を踏襲した建物が多く、壁の色も当時よく見かけられた淡いクリーム色や黄色に塗られているものが多い。アルマス広場から徒歩圏内にコロニアル様式のバルコニーやカラフルな壁のデザインの建物が多数あり、時代を遡ってしまったかのような不思議な感覚を覚えるはずだ。最近では古い建物を改築したおしゃれなカフェも増えてきているので、ゆっくりとお茶でも飲みながら時代の流れを感じてみたい。治安のよくなってきたリマ旧市街だが、新市街と比べるとスリやひったくりも多いので、観光の際には貴重品は持ち歩かないようにしよう。暗くなってからの徒歩観光は避けるほうが無難。
カテドラル Catedral
アルマス広場に面して建つカテドラルは、スペインからの征服者ピサロが自らの手で礎石を置いたペルーで最も古い大聖堂である。1535 年から 90 年の歳月をかけて建設された。教会内のピサロの間には”ピサロの遺体”とされるミイラが棺桶に収められて安置されているが、真偽のほどはわからない。博物館も併設されており、歴代インカ皇帝の肖像画や彫刻、宗教画などが飾られている。リマでは 17 世紀から18 世紀にかけて相次ぐ大地震に見舞われ、このカテドラルも大きな被害を受けた。現在の建物は 1755 年に再建されたものである。
サント・ドミンゴ教会 Iglesia Santo Domingo
1547 年に建設された礼拝堂は地震の被害を免れ、ペルー最古の礼拝堂として知られる。外観は建立当時からほとんど変わっていない。ここにはペルーの 2 大聖者といわれているサンタ・ロサとフライ・マルティンの祭壇がある。サンタ・ロサはペルー警察の守護神で毎年 8 月 30 日の祝日には盛大なミサが行われる。
サンフランシスコ教会 Iglesia San Francisco
1546 年から 100 年以上かけて建てられた。バロック様式の正面装飾は見事。回廊からつながる長い廊下を通り、地下に下りると 16,17 世紀に使用されたカタコンベ(地下墓地)がある。地下室は地下 3 階まであり、見学できる地下1階だけでも約 2万5千体の骨がある。
サン・マルティン広場 Plaza San Martin
ペルー独立の父、ホセ・デ・サンマルティンの銅像が中央に建つ、アルマス広場と並ぶもう一つのセントロ地区の中心地。昼間は市民の憩いの場となっている。かつてはリマ市内でも最も活気のある商業地区として賑わっていたが、企業などはほとんどが新市街のミラフローレス、サン・イシドロ地区に移転してしまった。
グラウ広場 Plaza Grau
セントロ地区の南端にある広場。リマ市内を南北に貫く専用バス(メトロポリターノ ) の中央駅が地下にある。広場周辺はリマ美術館やイタリアンアート美術館などが立ち並ぶ緑の多い文化地区となっている。大型ショッピングモールも近くにあり、週末はリマ市民の娯楽や憩いの場として賑わいをみせる。
噴水公園 El Circuito Magico del Agua
グラウ広場からさらに 1 キロほど南下したところに位置するラ・レセルバ公園内に 2007 年に創設された噴水公園。「世界最大の噴水パーク」としてギネスに認定されている。13 区画にそれぞれ噴水があり、その中でも最大の「マジック・ファウンテン」は高さ80 メートルまで噴水があがる。その他、長さ 35 メートルの噴水トンネルや、子供用噴水など、特色を持った噴水が市民や観光客を楽しませている。夜間には噴水がライトアップされるショーも開催され、こちらの美しさも必見。
サン・イシドロ San Isidro
昔からの高級住宅街として知られている地区。近年は世界的な大手企業や銀行が集まるビジネス拠点として、また高級ホテルやおしゃれなレストラン、デパートなどが点在する観光拠点としても、ミラフローレスと並ぶ新市街の中心地。そしてリマ ゴルフ・クラブやエル・オリーバル公園など緑も多く、滞在するにもお薦めのエリアだ。
ワカ・ワジャマルカ Huaca Huallamarca
リマ文化の時代(紀元 200 ~600 年 ) に建設された遺跡。16 世紀まで祭祀行事を行う神殿、墓地、そして公共施設と役割を変えながら利用されてきた。ピラミッドの東側からはインカ時代の土器や織物が出土し、附属博物館に展示されている。
日秘文化会館 Centro Cultual Peruano-Japones
サンイシドロの隣にあるヘスス・マリア地区にある日本とペルーの文化交流の場として 1967 年に設立された会館。日本語教室のほかにも、日本文化を学ぶことのできる生け花や茶道、舞踊や柔道などの教室も開講され、多くの日系人やペルー人が利用している。2 階にはペルー日本人移住史料館も併設され、日本人移民史を日本語で学ぶことができる。外国人観光客も見学可能。レストランもあり、ペルー料理のほかにかつ丼やカレーライス、うどんなどの日本食も手ごろな値段で食べることができる。
ミラフローレス Miraflores
太平洋を望む海岸沿いに高級マンションが建ち並び、カジノやディスコなどが夜遅くまで賑わっているリマ随一の繁華街、ミラフローレス。ホテルやスーパーも多く、観光客が滞在するには一番便利な地区でもある。セントロ地区の猥雑とした雰囲気とはうってかわって、ここミラフローレスは人出が多く、賑わいを見せながらも、洗練された落ち着きを持った地区だ。ミラフローレスの中心、中央公園とケネディー公園から海岸に向かって延びるラルコ通りとその周辺にはデパート、カフェ、レストランが並び、ぶらぶらと歩くだけでもわくわくしてくる。世界的に有名なレストランも複数あるので、ペルー旅行の記念に少し奮発して出かけるのもお勧めだ。
恋人達の公園 Parque del Amor
ミラフローレスの海岸沿い、水平線が望める公園。抱き合う恋人のモニュメントが公園中央に配置されており、いかにも南米らしい。ペルー人の芸術家ビクトル・デルフォン氏の制作。地元のカップルのデートスポットであり、また観光客も多数訪れるため、公園内はいつも人でいっぱい。海が西側に位置しているため、晴天の日にはきれいな夕陽を見ることができる。
ラルコ・マール Larco Mar
ミラフローレスの中央公園から、目抜き通りのラルコ大通りを徒歩で 15 分、海に突き出る終点にあるのがラルコ・マールだ。レストラン、映画館、ディスコ、土 産物店などが入っており、地元の人も観光客もみんな楽しめるエンターテイメント施設。旅行会社や両替所、薬局から家電店まで必要となるものはここですべて揃うので、旅行者にとってはとても便利な場所でもある。晴れた日には太平洋を一望できる展望スポットから壮大な太平洋の眺めを堪能できる。
ワカ・プクヤーナ Huaca Pucllana
ミラフローレス地区の閑静な住宅街の真ん中にあるリマ文化 (200 ~700 年 ) の遺跡。アドべと呼ばれる日干しレンガを組み上げて造られており、リマ文化時代に宗教的儀式が行われた場所だ。現在も発掘が行われており、出土品は遺跡内の常設博物館に展示されている。遺跡内は常駐ガイドの案内で見学できる。夜間も営業しており、ライトアップされた遺跡は昼とはまた違う顔をみせてくれるはずだ。
リマ市内中心部マップ