マチュピチュ遺跡へご案内
マチュピチュ村から遺跡までは標高差400m のつづら折りの約 8km の坂道で、遺跡発見者の名を取って、ハイラム・ビンガム道路と呼ばれている。村から遺跡まではバスで約 25 分.細い道の両側は鬱蒼とした緑が茂るが、崖側はガードレールが整備されていないので運転手への信頼感が必要。スリリングだが安全に、急カーブをものともせず砂利道を上っていく。20 分ほど上ったころには天空都市まであと僅か、ますます興奮度が増してくる。マチュピチュへ向かうつづら折りの道は相当な急斜面。坂道を登りきった右側に見えるのが、山上の森を切り開いて造られた空中都市マチュピチュ。
遺跡内の見どころ
遺跡内の見学コースは一方通行。現在のルートに沿って遺跡内の主な見どころを案内したい。 遺跡入場後、遊歩道を 200 mほど行くと、最初の建造物が見えてくる。分岐点を左へ曲がり石畳の道を 上って行く。草葺きの屋根で復元されたコルカと呼ばれる貯蔵庫に到着。ここはジャガイモ、キヌア、乾燥リャマ肉などの食料や農具、土器などが保管されていた。
段々畑 (アンデネス)
マチュピチュの急斜面を利用して造られた段々畑(アンデ ネス)のスケールの大きさには圧倒される。マチュピチュでは700人ぐらいが生活していたようで、その住民のためにジャガイモ、トウモロコシ、コカの葉などが生産された。これは、ただ段々に造ったのではなく、水はけや日照条件が考えられている。そして急斜面の段々畑は山くずれを防ぐ目的もあった。
見張り小屋
さらに上って行く。つづら折りだが石畳み階段なので結構きつい。途中「太陽の門 /インティプンク」「マチュピチュ山」へと向かう山道への分岐ヶ所がある。いよいよ段々畑の最上段、マチュピチュの南の一番高い場所にある見張り小屋に到着。三方に壁があるワイラナと呼ばれる建築様式の小屋でマチュピチュ全体を一望出来るので見張り小屋だったといわれている。正面に遺跡全景、その向こうにワイナピチュ、周囲には4000m ~ 6000m 級の高峰、そして眼下には段々畑、まさに絶景。マチュピチュといえば誰しもここからの景色を見たかったはず。必ずここで自由時間となるので、マチュピチュの最高の思い出に気にいった写真を手に入れて欲しい。ここに遺跡内のリャマも出迎えてくれる。そして見張り小屋の後方から「インカの橋」へ行ける。
儀式の岩
見張り小屋の横にある大きな岩。ここで祈りの儀式が 行われていたと考えられている。側面にはインカの建造部によく見られる三段の階段があるマチュピチュといえばこの景色。本やテレビなどでよく見る景色は見張り小屋付近から撮影されている。
市街地入口
マチュピチュを見下ろす高台から階段を下って行くと要塞のような石垣で囲まれた市街地に入る。入口は一つしかなく、当時はここに頑丈な木の扉が取り付けられ、入場規制がされていたようだ。正門の高さは 2m20cm で、門の上には 3 トンもの大石が渡され、上に小さな石がきれいに積まれている。門の真正面にワイナピチュ山が見え、まるで額縁に飾られた絵のようだ。
作業小屋
切り出された石を熟練の技術者が加工していたと考えられている建物。
墓地跡
インカ時代の人骨が沢山発見されたため墓地と考えられている。インカ人は死者をミイラとして祀っていた。
石切り場
マチュピチュの建築物のほとんどがここで切り出した石を使っている。巨大な花崗岩をブロンズ製の道具や硬い石を使い加工した。
太陽の神殿と陵墓 El Tempro del Sol y La Tumba Real (Torreon)
水汲み場 Fuentes
太陽の神殿エリアから下の居住区にかけて、16の水汲み場があり、インカ時代と変わらず水が流れている。この水ははるか遠くの山から石の水路を使っ
て引かれている。
皇帝の部屋(王の別荘) Recintos Principales
太陽の神殿に向き合って立ち、重厚なつくりの二重扉があること、石組みの美しさに加え、遺跡内唯一のトイレがあることから、インカ王がマチュピチュ訪問時に利用した部屋と考えられている。部屋内には天体観測をしたという石もある。
王女の宮殿 Casa de la Senora
太陽の神殿に隣接し、マチュピチュでは珍しい 2 階建ての建造物。2 階への階段は外側についている仕組みだ。きれいに揃った石を用いた精巧な石組みのレベルの高さから、王女ではなくても王族などの高貴な人の建物だったと考えられている。
作業小屋、太陽の神殿の上方周辺から見える遺跡の景色
神聖な広場 La Plaza Sagada
石切り場から進んで行くと「神聖な広場」に着く。「3 つの窓の神殿」「神官の館」「主神殿」の 3 つの神殿に 3 方を囲まれ神聖な儀式が執り行われていたと考えられる。広場の中央には台座のような大きな岩が鎮座し、上に生け贄を置き太陽の神々に捧げる儀式が行われていたといわれる。
神官の館 La Casa del Sacerdote
神聖な広場や主神殿で祭事が行わる際にやって来た神官たちが待機したり、祈りを捧げたといわれる三方に壁のある建造物。
3つの窓の神殿 Templo de Las Tres Ventanas
太陽が昇る東向きに 3 つの大きな窓を持つ神殿。この窓から初代皇帝マンコ・カパックが生まれたという伝説がある。窓は 5 つあるが両端の窓は最初から塞がっている。同じ大きさの石を積み重ね上げた丁寧な造りとなっている。向かいにはチャカナというインカのシンボル的な石がある。
主神殿 El Tempro Principal
世界を創造したビラコチャ神のために建てられたといわれる神殿で、幅 8m、三方を壁に囲まれている。壁には小さな台形の 17 のくぼみがあり、これは飾り棚で、ここに宝飾品やミイラなどが飾られていたようだ。マチュピチュの中でも特に大きな石を使って建てられた神殿で、下部中央の大きな岩は長さが 4.5m もあり、神への捧げものが置かれていたと考えられている。
インティワタナ Intiwatana
インカ時代の公用語ケチュア語で、” インティ ” は「太陽」、” ワタナ ” は「つなぐ」という意味があり、インティワタナは太陽をつなぎ留める石となる。大岩を削って造られていて、高さ 1.8m、上に突き出した角柱は高い所で約 65cm ある。角柱の各角は東西南北を向いており、太陽暦を使っていたインカの人々が暦を読むための日時計として利用していたと思われる。そしてインティワタナはワイナピチュを模したものともいわれている。
メイン広場 Plaza Principal
インティワタナを下りてくると広々としたメイン広場に出る。遺跡内中央のこの広場は数段の階段状にできているテラスのような広場。当時ここでいろ
いろな催しがあったのだろう。
農業試験場 Centro de Invesgacion Agricola
メイン広場の先には、農業試験場と呼ばれる小さな段々畑がある。発掘調査で多くの植物を栽培していたことが分かっている。
ワイラナ(準備室) Wayrona
長方形の三方が壁になっていて、残り一方が開いているワイラナ建築でつくられた小屋。準備室、見張りや管理に使われたとされる建物。ワイラナは現在ワイナピチュに登る人、帰って来た人の休息所になっている。
聖なる岩 Roca Sagrada
高さ 3m、幅 7m の一枚岩で、正面に仰ぐヤナティン山を模したと考えられている。パワーストーンとして人気もある。
居住区 Zona Residencial
聖なる石の後に訪れるのは広場を挟んで東側に位置する居住区のエリア。手前が造りがしっかりした建物の「技術者の居住区」だったようだ。その後の貴族の居住区には横に広がる「3 つの入口の家」がある。そしてインカ建築では珍しい「2 階建ての家」が急斜面を利用して造られている。
天体観測の石 La Piedra de Observacion Astoronomica
居住区の美しい石組みの建物内にある直径60cm ほどの 2 つの円盤型の石。長く石臼と信じられてきたが、現在は天体観測をするためのものとわかった。水を張り夜に月や星の軌道を観察したようだ。2 つセットになっているのはインカの二元性を表している。似たものが皇帝の部屋にもある。
コンドルの神殿 Templo del Condor
コンドルはインカの世界観の中で地上と天を結ぶ神だった。手前の地面にある石がコンドルのくちばしと頭、背後の石積みはコンドルが羽を広げた姿をイメージさせる。建物の上部は牢獄、下部は拷問部屋だったといわれているが、神のコンドルをモチーフにしていることから。神聖な場所だったと考えられている。
マチュピチュ観光は午前中が大半。観光後が大体、昼食時間の場合が多い。遺跡周辺で食事が可能なのは遺跡出口近くにある軽食のフードコート。そして遺跡入口近くのホテル、サンクチュアリー・ロッジのレストラン。エアコンが効いたきれいな店内は遺跡巡りで疲れた体を癒してくれる。食事は山上のレストランとは思えないほど豊富なブッフェ。ペルー料理も含まれたインターナショナル料理で満足できる。
ベルモンド サンクチュアリ・ロッジ
遺跡近くにある唯一のホテル。一流ホテルチェーンのベルモンドの経営で、名前はロッジだが料金は最高級ホテル並み。最高の立地でマチュピチュ遺跡観光を満喫できる。夜はバスもなくホテルからは動けない分、ゆったりと大自然に浸れるホテル。日本人客は上記のようにこのホテルを昼食で利用することが多い。